さて今回は「卑屈」について扱っていきます。
卑屈とは辞書的には、「いじけて、必要以上に自分をいやしめること」ということになるのですが、
要は「セルフイメージが低い」ということ。
自分を愛せない、自分を好きになれない、自己受容感が低い、という言い方をすることもできます。
卑屈と謙虚の根本的な違いとは?
謙虚というのは、自分を下げるという意味で卑屈と似ている部分を感じるものですが、
謙虚の場合は根本的に「自分の価値を自分は認めている」というところに違いがあります。
卑屈=自分で自分を認めていない状態で、自分を低く扱う
謙虚=自分で自分を認めている状態で、(相手のためも考え)自分を低く扱う
という違いがあって、メンタリティ的に「自分を認めている気持ちがそこにあるか」に大きな違いがあるんですね。
謙虚の「相手のためを考え」というのは、例えば大きな結果を出したとして、それをこれみよがしにひけらかせば、相手は嫌な気分になりますよね。
それがわかるので、自分で自分を認めながら、相手を低く扱ったり、相手を嫌な気分にさせないために自分を大きく見せない、ということ。
そうなれば、相手もその人と一緒にいて嫌な気分にならないので、「感じの良い人」と言う印象になり、人間関係も良好になっていく。
卑屈になってしまう理由
ただ、卑屈の場合はどうなるかというと、根本的に自分で自分を認められないことから、人から認めてほしいという気持ちが強くなります。
すると、心の奥で、「人から認めてほしい」という思いを抱えることになり、無意識のうちに自分を下げることによって「そんなことないよ」とか「君は素敵だよ」と言ってもらうことを望むようになる。
卑屈にいじけることで相手からの励ましの言葉を得ようとしてしまう、ということ。
この戦略は最初の頃は有効に働くこともあり、「そんなことないよ」と言ってもらえるのですが、周りの人もだんだんとそうやって励ますことに疲れてきます。
励ますのは「エネルギーを与えること」になるので、励ます側にもエネルギーと根気が必要で、
卑屈でいる人と一緒にいると、どんどんエネルギーが獲られてしまうような、そんな感覚になっていく。
結果、人がどんどん離れていったり、あまり連絡をくれなくなったりして、卑屈な人はその本人の自己概念の低さに見合った現実を体験することになる。
卑屈と謙虚には「自分で自分を認めているかどうか」という、大きな差がそこにはあるわけです。
自分で自分をそもそも認めていれば、他者からエネルギーをもらう必要性が薄くなります。
ただ、自分を認められないなら、他者から認めてもらうこと、かまってもらうこと、励まされることが必要になっていき、
エネルギーをもらう手段として「卑屈になる」ことを選択してしまうのです。
謙虚になれる理由
逆に、先ほども書いたように「謙虚」というのは、むしろ相手にエネルギーを与える行為。
「あなたも素晴らしい存在ですよ」「私と変わらないですよ」「あなたにもできますよ」といったメッセージすら、そこには込められることがあるくらいです。
「あの人のおかげで」「あの人がいたから「声援のおかげで」と言った言葉が謙虚な人からは出てきたりしますよね。
それは、自分は自分をすでに認めているがゆえに、他者に感謝する余裕があり、他者にあなたは価値があるよと伝えられる心のエネルギーが満ちている、ということなのです。
自分が自分を認めれば人生は良くなっていくというのは、こういうところにもその理由があります。卑屈ではなく謙虚でいられる、ということ。
「いえいえ、自分なんて」という言葉も、卑屈に言うこともできれば、謙虚に言うこともできる。
その違いは何かというと、言葉の違いではなく、本人の心の状態の違いです。
本人が自分のことを認めているなら、「いえいえ」という言葉は周囲の人を敬い、気遣う言葉として受け取られる。
そこには余裕があり、愛があり、それが周囲に伝わって、「感じの良い人」と周囲からも思われるようになる。
逆に、その言葉を発する本人が自分を本当に認めていないから、
そこには卑屈の匂いが漂い、その人を軽く扱ってしまうような雰囲気を発し、「励まさなければならない」「感謝しなければいけない」と周囲は感じるようになります。
そして実際に、本人も励まされたり感謝されたりすることを望んでいるのです。
そのような「心の状態」で存在していては、対人関係においてなかなかうまくいかないことが増えます。
卑屈さを乗り越える方法
卑屈さを減らし、むしろ謙虚になれるような、そんな状態を作っていくことが望ましい。
そのためには、自分で自分を認めること、自分の機嫌を自分で取れること。
そういった力が必要です。
自分で自分を認められるからこそ、自分の内側からエネルギーを生み出せる。だからこそ、外側からもらう必要がなくなり、卑屈になって周囲からの励ましを得る必要がなくなっていく。
むしろ、他者にエネルギーを与えられるような、謙虚になって相手を敬えるような、そんな心の状態になっていける。
そうやって自分を認め、自分の機嫌を自分自身で良くできる力が身についたときから、自分を認めない卑屈ではなく、自分を認め周囲を敬う謙虚へと、飛躍することができるんですね。
参考記事
:自分で自分の機嫌を取る方法。機嫌良くいられるための心のコツ
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