期待に応えなければ…と強く思いすぎて苦しくなってしまう…
実はこの「期待に応えないといけない」という思いが苦しみの根本的な原因になっていることはよくあります。
今回は「期待に応えなくていい」ということ、そして期待に応えない具体的な練習方について解説していきます。
【この記事を書いている人→池田潤 コーチ・メンタルトレーナー。20代で6万5千部のベストセラー含む5冊の本を出版(自分の武器を見つける技術、無愛想のススメなど)。900名以上が参加した心を鍛え整えるジム「イケジム」を運営。コーチ・トレーナーとして心の状態&パフォーマンスを最大化するサービスを提供。京大法学部合格後、ブログを書き始め今に至る。趣味は、筋トレやボドゲ、読書。毎朝起きてカフェに行くのが日課】
期待に応えなきゃ!が自分を苦しくする
昔、勉強を教えていたときに、
期待に応えなければならない
という思いで勉強する子によく出会いました。
そういう子は苦しそうに勉強していたり、「勉強が楽しくない」「勉強のモチベーションが上がらない」と嘆いていることが多かったんですよね。
自分の本音の願望ではなく、人の期待に応える、他人の夢を追いかける、という状態になっていました。
その状態では人は本来持っているものを発揮することは難しいですし、感情的にもネガティブに陥りやすくなります。
結果が出ないと落ち込むことになるわけですが、その落ち込みは、
・期待に応えられなかった
・「あの人」が望む通りの自分になれなかった
というところからくる落ち込みです。
あの人とは、お母さんだったり、先生だったり、その人特有の誰かのこと。自分が自分の目標を達成できなかった、というところで落ち込んでいるというよりも、
他者の期待、他者が「こうなってほしい」と願っている姿になれなかったというところで落ち込んでいます。
つまり、軸や中心が他者にあるということです。
期待に応えられず、「あの人が望む通りの自分」になれなかったから、自分はダメな奴だと自分を責めてしまう。
その責めは、
心の中の「あの人」に責められるだろうという想像が起こしたものです。
心の中の「あの人」がいつも自分をチェックしているように感じているんですね。その結果、
ちゃんとしなきゃ
頑張っていることをアピールしなきゃ
「やっている」ということにしとかなきゃ
あの人に認めてもらわなきゃ
と思う。
「ちゃんとしている」自分であれば認めてもらえると感じているからです。だから【頑張る】わけですが、実は心の奥で恐れていたり、疲れていたりします。
そのような場合、過去に、「こう」でなければ価値がないと感じるような経験をしてきたケースが多くあります。
すると、その頃の記憶や思い込みが残っていて、いつでも人生の中に「自分をチェックする人」をどうしても心の中に置いてしまいます。
その「自分をチェックする人」に気に入られるために頑張ります。
でも、一旦認められたと思っても、認めてもらえないのではないかという恐れは存在することになります。それが「他者の評価が気になる」「他者の顔色が気になる」「他者の機嫌が気になる」という状態につながります。
期待には応えなくてもいい
大事なことは、
期待に応えなくてもいい
ということです。ここを腑に落とし、行動レベルで期待に応えないような行動を取れるようになっていくことが大切になります。
人は基本的に、他人の期待に応えるために生きているわけではありません。
例えば、元陸上選手のウサインボルト選手が、日本の陸上選手桐生選手にこう伝えたという有名な話があります。
最後に1つ、いいかい。日本の陸上界に言いたい。
桐生にあまりプレッシャーをかけないでほしい。
いいか、桐生。自分のために走れ。それが国のためになればいい。
まずは『自分のために走る』。そして『楽しむ』。
それが日本のためになるんだ。決して国のためだけに走ってはだめだ。
期待というのは勝手なものであると同時に、本人に無用なプレッシャーをかけてしまう。
ですが、最も人がハイパフォーマンスになるのは物事を主体的に楽しんでいるとき、自分で決めたゴールに向かっているときです。
内発的な動機によって自ら動いているとき、人のやる気は尽きませんし、失敗しても自分を責めるのではなく、どうすればうまくいくんだろう?と考えることができます。
世界一のボルト選手が桐生選手に送った言葉は、まさにメンタルトレーニング的にも的確なものだったと言えます。
この言葉がきっかけになったのかはわかりませんが、
実際にその後、桐生選手は日本人初の100メートル9秒台という大記録を樹立。
期待に応えようとしないことでパフォーマンスが上がり、結果的に期待に応えられてしまう、ということはよくあります。
人から勝手に期待されて、失望されることを恐れる必要はありません。
その期待は相手の勝手な期待で、相手の問題であり、その期待に応える義務はないですし、
期待に応えなきゃ!という心理的なプレッシャーは、自分のパフォーマンスを下げて、結局は期待に応えることもできなくなります。
あなたが結果を出さないとか、何かをしないことで失望する人からは、失望されてしまっても良いのです。
失望されないように『努力する』のではなく、失望される『勇気を持つ』こと。
そちらの方向性で取り組んでいくことが大切になります。
失望されたってあなたの価値は変わらないですし、ダメな奴だなと他人に思われたって、あなたの価値は変わりません。
失望されるチャレンジ
とはいえ、失望されること、ダメな奴だと思われることは、一番の恐怖だと思います。
あの人に認められることが自分の価値の根本だったわけで、その価値の根本を手放そう、と言っているのですから。
だから、これはチャレンジです。ですが、それができると本当に楽になります。
『自分には価値がある』という感覚が理解できるようになりますし、自分がやりたいことをやれて、自分軸で生きることができるようになります。
だからこそパフォーマンスも上がり、やる気も出て、充実し、成果も出せるようになります。
自分軸ではなく他人軸で生きているときは、どうしてもパフォーマンスが下がります。自分がやりたいことではないし、恐れや不安がベースにある状態だからです。
どこかの時点で頑張れなくなってしまうことも多いです。
その根本的な恐れを手放すことができたとき、もっともっと自由で解放された心で、楽しく生きることができます。
では具体的に、期待に応えない自分になる方法、他人軸ではなく自分軸で生きられる方法について解説していきます。
ステップ1 現在の自分の言動を把握する
まずは『現状把握』から始めます。
自分自身が、他人軸で行動したり選択している場面がどこにあるか、どれくらいあるかをチェックしていきましょう。下記の質問について考え、ぜひノートに書き出してみてください。
「他人の評価を気にしてやっていること、やっていないことは何か?」
仕事、人間関係、コミュニケーション、趣味、何でも構いませんので、あるだけノートに書き出してみてほしいと思います。例えば具体例を挙げると、
「本当は行きたくないけど、行かないとどう思われるか不安だから、無理をして行っている場がある」
「本当は言いたいことがあるけれど、マイナスに思われるのが嫌だから、自分の意見を言わないようにしている」
「相手の期待に応えようとして、無理をしたり、頑張っている」
「本当はやりたいことがあるけど、どう思われるかわからないので、やっていない」
「本当は自分から誘ったり声をかけたりしたいけど、どう思われるか不安だから、声もかけていないし誘ってもいない」
「本当はAを選びたい自分がいるけれど、みんなに合わせてBを選んでいる」
こういう具体的な事例をノートにどんどん書き出していきます。現状の自分や現状の行動、あり方が見えてくると、具体的なアクションプランも定めることができるようになります。
とにかくここで大事なのは、
他者の評価(期待)を気にしている場面、他者の評価と自分の価値を関連づけている場面を特定していくことです。
ステップ2 これまでと異なる選択肢について考える
現在の言動を書き出したら、それぞれについて『これまでとは異なる選択肢』について考えていきます。
ここで大事なのは、できるかできないかは置いておく、ことです。
できるできないは一旦置いておき、これまでとは違う選択肢をとにかく書き出していきます。例えば、
・どう思われるかは気にせず、『行かない』選択肢を取る
・期待に応えず、『頑張らない、無理をしない』あり方でいる
・やりたいことを『やってみる』
・自分から声をかける、自分から誘う
・BではなくAを選ぶ
これらの行動は、自分軸での行動であり、他人の評価を気にしない、期待に応えないあり方における行動になります。
こういった行動を少しずつ増やしていくことで、脳の神経回路が鍛えられていき、期待に応えない自分でいられるようになっていきます。
一般的になぜ自分を変えることが難しいことが多いかというと、具体的なアクションプランが決まっていないからです。
先ほど、現状の言動について明確にしました。このステップがあることで、何をやっていけばいいかが明確になります。
ただ、一般的にはステップ1を行わず、どこか抽象的に「期待に応えないようにしよう」「他者評価を気にしないようにしよう」と考えるだけになってしまいます。
すると、ボヤッとしているので何をしていいか分からず、期待に応えないなどの知識だけは増えても、実際に「期待に応えない自分」になることは難しくなるんですね。
大事なのは、現状の自分と理想の自分のギャップを埋めること。そのためのアクションプラン、何をやっていくか、何を意識するか、を具体的に明確にすることです。
ステップ3 心理的抵抗を取り除く
ステップ2でやることが明確になったとしても、いきなり実践することは難しいと思います。
というのも、そこには心理的な抵抗感があるからです。その抵抗感を取り除いていくのがステップ3です。
心理的抵抗は、過去からの【自動反応】が原因で起こります。
今まで「期待に応える」「他者を気にする」ということをずっとやってきたのに、そのパターンを崩すことになるわけですから、未知のことに一歩踏み出すことになりますよね。
例えば、初めてのことをするときは何であっても、不安や緊張を感じるものです。
未知のことはどうなるかわからないし、知らないことだらけなので、結果が予測できず不安になります。その不安を感じないようにするために、初めてのことを「やらない」という選択を取りたくなります。
ただ、初めてのことをしなければ、現状は動きません。
今までと同じことをすれば同じ結果が出続けるので、違う結果、違う現実、違う自分を望む場合は、初めてのことに取り組んでみる必要があるのです。
ポイントになるのは、期待に応えない取り組みをすると、未来は必ず良くなる。そのことを理性的に論理的に理解することです。
これだけ期待に応えないことについての本が出ていて、その大切さや重要性を訴える人がいるということは、それだけ効果があるということ。現実が良くなるということです。それによって良くなった人ばかり。
実際、運営しているメンタルジムでも、期待に応えない、他人軸をやめることで非常に心が楽になり、人間関係が良くなった人がたくさんいます。
つまり、今は自動反応によって不安や恐れを感じるかもしれませんが、それは『幻想』であるということです。理性的、論理的にそう理解していることが重要です。
期待に応えないと良くないことが起こる、他人軸じゃないとネガティブなことになる。
それは幻想で、実際は自分らしくいた方が人から好かれますしモテますし、対人関係はうまくいきます。
実際、対人関係がうまい人は、無理に頑張っているというより自然体ではないでしょうか。
他人軸でないと他者から嫌われる、というのは実は幻想なのです。他人軸を手放し自分軸で生きた方が好かれますし、対人関係もうまくいく。
そういうことをまずは頭で理解していくこと。幻想の恐れが出てきたときに「これは幻想だ」と気づけることが大切になります。
そうすると、少しずつ心理的な抵抗感が和らいでいきます。
また、さらに心理的抵抗感を和らげる方法として、イメージトレーニングも有効です。
いきなり現場でこれまでと違う言動を実践するのはハードルが高いと思います。ハードルが高いと実践できずじまいになってしまいます。
ただ、イメージの中であれば失敗するリスクもありませんし、また、実際に脳の神経回路はイメージだけでも強化することが可能です。
つまり、イメージトレーニングは、リスクゼロで効果が期待できる非常に有益な取り組みになります。実際、運営しているメンタルジムでもイメージトレーニングはフルに活用しています。
具体的には、ステップ2で明確にした言動を取っている場面をイメージしましょう。
重要なのは『自分自身が新しい言動を取っている場面』をイメージすることです。
その結果どうなるかというよりも、自分自身の新しい言動をイメージしてみてほしいと思います。
新しい言動をしている自分自身をイメージすればするほど、その言動をする自分が馴染んでいきます。脳の神経回路が発達するので、実際に現場でその言動をしやすくなっていくんですね。
そうすることで心理的な抵抗感も緩んでいき、実行率が上がり、実行すればするほど、他者の期待に応えない自分、他人軸ではなく自分軸の自分を手に入れることができるようになります。
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