夜、スマホをやめられない。
ベッドに入って、「今日はもう見ないで寝よう」と思ったはずなのに、気づけば親指が勝手に動いている。
SNS、動画、ニュース、ショート動画……。
次から次へとスクロールして、我に返ったときにはもう深夜、という経験がある方も多いのではないでしょうか。
多くの人は、ここでこう考えます。
「自分は意志が弱い」 「また負けてしまった」 「もっと自制心を鍛えないといけない」
しかし、最初にお伝えしたいのはこれです。
夜スマホがやめられないのは、意志の問題ではありません。
脳の仕組みの問題。
より具体的には【報酬回路のバグ】の問題です。
【執筆者:池田潤(コーチ/メンタルトレーナー) 16年間で1万人以上の相談実績を持ち、メンタル専門ジム10年運営で1000名以上が受講。6万5千部のベストセラーを含む5冊の著書を出版。科学的根拠に基づいた「今日からできるメンタル強化」を専門としています。 詳しいプロフィールはこちら 】
スマホは「最強の報酬マシン」
スマホの中身は、ほぼギャンブルと同じ構造になっています。
・次に何が出てくるかわからない
・たまに「当たり」が出る(面白い投稿、刺激的な動画、気になる情報)
・しかも努力ゼロで無限にできる
これは、人間を最もハマらせる報酬設計です(可変比率スケジュール)
スロットやガチャがやめられなくなるのと、仕組みはほぼ同じです。
「やめたくてもやめられない」という感情にどうしても陥ってしまいます。
さらに夜は、理性や自己制御を司る前頭前野が、一日の疲れで弱っています。
つまり、
・相手は最強の報酬マシン
・こちらは疲れ切った脳
この状態で「意志で勝とう」とするのは、かなり分の悪い勝負です。
やめられないのは、ある意味、自然なことなんですね。
ドーパミンの役割は「次にいこう!」と促すこと
ドーパミンは、よく「気持ちよくなる物質」だと思われがちですが、正確には少し違います。
ドーパミンは、「これを追いかけろ!」「次を探せ!」と行動を駆り立てる物質です。
スマホを見ているとき、私たちは深い満足を得ているというよりも、
「次は何だろう」「もっと面白いものがあるかも」と探し続けさせられている状態です。
だから、いくら見ても「もう十分だ」とはなりにくい。
いつまでも「次!次!」と感じてしまう。
結果、ずっと満足できずに、気づけば時間だけがどんどん過ぎていきます。
このことに気づくだけでも、自分自身を制御しやすくなります。
夜スマホは「人生の報酬不足」の代替行動です
ここが、とても大事なポイントです。
人は、
・日中に前に進んでいる感覚がないとき
・達成感や手応えを感じられないとき
・「自分の人生を生きられている」と思えないとき
すぐに手に入る報酬に流れやすくなります。
スマホは、努力ゼロで、即座に、それなりの刺激を与えてくれます。
つまり、夜スマホは「サボり」や「堕落」ではなく、
満たされていない感情を埋めるための代替行動になっていることが多いのです。
「意志が弱いからやめられない」のではなく、
「日中の人生に脳が納得する報酬が少ない」から、スマホに引き寄せられている。
そう考えた方が実態に近いと思います。
だからこそ、日中のリアルな生活の中で報酬を得ること、が大事になります。
自己肯定感が低いほど、スマホにのめりこみやすい
また、自己肯定感が下がっている状態では、
・今の自分に価値を感じにくい
・今の人生に満足しにくい
・現実と向き合うのがしんどい
こうした感覚が強くなります。
その結果、人は「考えなくていい」「感じなくていい」刺激に逃げやすくなります。
スマホは、その条件を完璧に満たしています。
だから夜スマホは、娯楽というよりも、
自己評価の低さを和らげるための鎮痛剤のような役割を果たしていることも少なくありません。
解決策は「報酬を再設計する」こと
夜スマホをやめる本質的な解決策は、「我慢」や「禁止」ではありません。
人生の報酬設計を、スマホよりも強いものに組み替えることです。
簡単に言えば、
リアルな人生がスマホを触るよりも楽しいと感じられるようにすること
です。
たとえば、こんな問いを自分に向けてみてください。
・今日は、少しでも前に進んだ感覚はあったか?
・「よくやれたな」と言える行動はあったか?
・自分で自分を認められる要素はあったか?
この「前進感」や「自己承認」が増えていくほど、脳はわざわざ偽物の報酬を探しにいかなくなります。
ドーパミンの「短期回路」と「長期回路」
ドーパミンには短期回路(クイックドーパミン)と長期回路(スロードーパミン)があります。
スマホは完全に短期。クイックドーパミンです。
クイックドーパミンは急激に上がりますが、急激に下がります。血糖値みたいなものですね。
さらに、下がったときに、元々のベースラインを超えて低下します。
つまり、スマホをずっと触っていると、触り始めたスタート地点よりも最終的にメンタルは低下した状態になります。
一方、スロードーパミンはゆるやかに上がり長続きします。
このスロードーパミン回路をどんどん使っていくことが大切です。
短期回路のドーパミン(クイックドーパミン)は、
・スマホ
・ジャンクな刺激
・無限スクロール
などで分泌され、
一方で、長期回路のドーパミン(スロードーパミン)は、
・成長実感
・積み上げ
・意味のある目標への前進
などで分泌されます。
夜スマホを減らすというのは、
短期回路の報酬に人生を支配させる割合を下げ、長期回路の報酬に重心を戻していくことだと言えます。
「やめる」よりも「戻りたい場所」を作ること
スマホを無理に奪うよりも、スマホより戻りたくなる場所を用意する方がずっと現実的です。
たとえば、
・人生を前に進める作業
・成長を実感できる勉強
・没頭できる読書
・体力をつける運動
など。
つまり、
現実で長期回路報酬(スロードーパミン)を得る活動をすることに戻っていくこと。
これが根本解決策です。
スマホを我慢しているという感覚ではなく、
スマホ時間を減らしたいと感じられている状態。
「スマホを触っている暇があったら、〇〇がしたい」
と感じられるメンタル状態を作ること。
これこそが真の解決策になります。
意志力でどうにかするのではなく【スマホ以上にやりたいことの再設計】がポイントです。
スマホをやめる方法は「禁止」「我慢」ではない
夜スマホをやめられる人は、我慢が強い人ではありません。
【生きたい人生(真の報酬)】を持っている人です。
「報酬の再設計」こそが、意志に頼らずに夜スマホから自由になる最も根本的で、メンタルにも負担がない方法になります。
ここまで読んで、「なるほど、理屈はわかった」と思っても、明日から何も変わらなければ、また同じ夜が来ます。
なので最後に、今日からできる小さな実践を2つだけ紹介します。
①小さな成長を評価する
小さな成長は、
・今すぐ得られる報酬になる
・リアルな人生が前に進んでいる感覚をくれる
という性質を持っています。
一方で、大きな結果は今すぐには得られません。
だからこそ、僕らは「今すぐ報酬がもらえるスマホ」に手が伸びてしまいます。
ということは、こう考えることもできます。
リアルな人生が良くなる取り組みの中で、今すぐ報酬を得られるようにすればいいのではないか。
その発想から生まれるのが、
「小さな成長を評価する」という習慣です。
・今日は原稿を100文字書けた
・本を3ページ読めた
・運動を10分だけできた
・やるべきことを1つ片付けた
どんなに小さくても構いません。
「今日はここまで進んだ」と、自分で認めてあげることが大切です。
逆に言えば、小さな成長を評価できないから、大きな結果が出ない時期に心が折れます。
心が折れるからメンタルも下がり、スマホに逃げたくなります。
小さな成長を楽しめるようになると、脳は少しずつ、
「スマホよりも、こっちの方が報酬がある」
と学習していきます。
その結果、スマホよりも小さな成長を優先するようになり、自然と夜スマホは減っていきます。
② 自己肯定感を上げる
思考がネガティブな状態だと、人は「考えるのを止めるため」にスマホに触りたくなります。
刺激があれば、嫌なことを考えなくて済むからです。
実は、この状態こそが、夜スマホの大きな原因のひとつです。
だから、根本的な対策は、自己肯定感を上げて、ネガティブ思考に飲み込まれにくくなることです。
ここは奥が深いテーマなので別の記事でも詳しく書きますが、まずできることはシンプルです。
・自分のできたこと
・取った行動
・ほんの小さな成長
これらを、毎日ちゃんと自分で評価する練習をしていくこと。
そしてもう一つ大切なのは、
「結果や他人の評価で、自分の価値は決まらない」
という思考に、少しずつ慣れていくことです。
この土台が育ってくると、
「現実から逃げるためにスマホを触る」
という必要性が、だんだん小さくなっていきます。
もし、
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