(ラジオの文字起こし版です)
前回の動画にいただいたコメントの中に「他人にイライラしてしまうこの状態を、どうすれば改善できるのか」というご質問がありました。
今回はこのテーマについて、じっくりと解説していきます。
ご質問をくださった方、本当にありがとうございます。
まず最初にお伝えしたいのは、
僕自身もかつては他人に激しくイライラし、そのイライラが態度や言葉に出てしまい、周りの人を傷つけてしまう経験をたくさん重ねてきた、ということです。
元々は、かなり早口でまくし立てたり、相手のハッキリしていないところやできていない部分を厳しく指摘したりするような人間でした。
だからこそ「このままでは絶対にまずい…」とある時に痛感し、改善に取り組み始めました。
その道のりは、全然平坦ではなく、
かなりの紆余曲折や葛藤があり、「やろうとしてもできない」「またイライラして怒ってしまった」というプロセスを何度も何度も潜り抜けました。
そうして泥臭く考え、試し、実験を繰り返してきた結果、「これは間違いなく効く」と確信できる方法にたどり着いたのです。今日は、いくつかある方法の中から、最も本質的な1つをお話しします。
この「他人へのイライラ」というテーマは、私が運営しているパーソナルセッションやメンタルジム(イケジム)でも、本当に多くの方からいただく相談です。
そして、実際にサポートさせていただく中で、この悩みが見事に改善し、人生が好転していくケースを山ほど目撃してきました。
なので、最初にこれだけは断言させてください。
「イライラは、間違いなく改善できます」
ただし、その改善のプロセス(道中)では、「やっぱり難しいな」「頭では分かっているけれど実践できない」「あ、またイライラしちゃった」と思う瞬間が必ず訪れます。
でも、それで当然です。
最初から完璧にできる人はいませんし、プロセスの中で立ち止まることがあっても全く問題ありません。
一番大切なのは、諦めないことです。
過去の自分と比べて、ほんの少しでも良くなっている部分があるのなら、あとはもう「時間の問題」でしかありません。
ちょっとでも前進しているなら、進んでいる方向性は絶対に合っています。
なので、今日お話しすることも「中長期的なスパン」で捉えていただき、「少しずつできるようになればいいや」という気楽な感覚で聞いてみてください。
1. イライラが生まれる根本原因:「期待値のエラー」
ではまず、根本的なお話から始めましょう。
なぜ私たちは、他人に対して「イライラ」というネガティブな感情を抱いてしまうのでしょうか。
結論から言うと、イライラの原因はすべて「期待値のエラー」にあります。
「自分は相手にこうしてほしいと期待していたのに、相手がその期待に満たない行動をとった」、あるいは「期待外れの言動をしてきた」。
この【自分が抱いた期待】と【目の前の現実】の間に生まれるギャップこそが、私たちをイライラさせる正体です。
この「期待」という言葉には、いくつかのグラデーションがあります。
「相手にこうしてほしい」というストレートな願望
「普通はこうするべきだよね」という、いわゆる「べき思考」
「正しいやり方はこれだ」という、自分の中の正しさや価値観
これらすべてが「期待」に含まれます。
なので、イライラを解消するためのファーストステップは、「自分の認知(考え方や期待値)をメタ認知する(客観的に気づく)こと」になります。
ここは少し難易度が高い部分でもありますが、めちゃくちゃ重要です。
「あ、私は今、相手にこういう期待をしているんだな」
「でも相手がその期待に応えてくれないから、このギャップによって私は今、ネガティブな感情(イライラ)を感じているんだな」
という風に、自分の心の中で起きている構造を客観的に把握しようとする。
これができただけでも、実は人間の気持ちはすーっと落ち着いていくようにできています。
自分の期待や認知をメタ認知し、「なるほど、今こういう構造でイライラが生まれているんだな」と見抜くこと。これが何よりも大切です。
2. ギャップを埋める2つの選択肢と、脳の罠
期待と現実にギャップがあるからイライラする。
だとしたら、このギャップを埋める方法は論理的に考えて2つしかありません。
相手の行動を変えさせて、自分の期待通りにさせる(ギャップを埋める)
自分自身の期待値を整えて、現実に合わせる(ギャップを埋める)
この2択です。
かつての私もそうだったのですが、人間は誰しも、どうしても「1. 相手が変わってくれること」をファーストステップで望んでしまいます。なぜなら、その方が「自分の脳の消費エネルギーが少なくて済むから」です。
これは皆さんが悪いわけではありません。人間の脳の仕組みとして、「できるだけ省エネでいたい」「消費エネルギーを減らしたい」という強烈な本能的な願いが刻まれているのです。
一方で、「2. 自分の期待値を整えていく」というのは、非常にエネルギーを使います。
感情的な葛藤を伴いますし、自分の中の「正しさ」や「価値観」と真っ正面から向き合わなければなりません。
「自分の価値観だけがすべてではないよね」とメタ認知していく作業は、脳にとって非常に「めんどくさい」ことなのです。
だからこそ人間は、自分だけでなく誰もが「相手が変わってくれること」を先に望むようにできています。
しかし、ここで悲劇が起きます。
相手もまた、まったく同じ脳の仕組みを持っているということです。
つまり、相手も「こっち(あなた)が変わってほしい」「自分のことを理解してほしい」と望んでいる。
お互いが「省エネ(相手を変えること)」を望み合うからこそ、人間関係はぶつかり合い、喧嘩に発展してしまうのです。
この脳の仕組み(お互いが省エネを求めている構造)までをあらかじめ理解しておくことが、イライラに振り回されないための大きな前提となります。
その上で、私たちが選ぶべき唯一の建設的な方向性は、やはり「自分の期待値を整えていくこと」です。ここからは、そのための具体的なアプローチを2つお話しします。
3. アプローチ①:価値観と視点の拡大(好みの世界へ)
期待値を整えるための1つ目のアプローチは、「自分の価値観や視点を拡大していくこと」です。
自分が持っている「こうすべきだ」という狭い視点から抜け出し、世界を広く捉え直すことで、結果的に相手への期待値が整っていきます。
例えば、アメリカという国を考えてみてください。
アメリカでは「自分の意見をハッキリ言うこと」が非常に美徳とされますよね。
私は今、歴史を深く勉強しており、アメリカの設立や建国の歴史まで遡って学んでいるのですが、それを紐解くと面白いことが分かります。
彼らが自己主張を大切にするのは、それが「個人の自由」を守るための絶対的な防衛手段だからです。
「自分の意見を主張しなければ、個人の自由が脅かされてしまう」という強い感覚が、文化の根底に流れている。もちろん全員がそうとは言い切れませんが、一般的な傾向としてそういう背景があります。
もし、この歴史的な背景や文脈を理解していれば、アメリカの人が強く自己主張している場面に出会ったとしても、
「あ、彼らにとっては個人の自由を守るために当然の振る舞いなんだな」という視点で見ることができますよね。
これこそが「視点の獲得」であり「視点の拡大」です。
私たちが他人の行動を見て「なんであんなことをするんだ」とイライラする時、私たちの視点からはそう見えても、相手の視点に立てば、
そうせざるを得ない「理由」や「過去の経験」「これまでに教えられてきたこと」など、様々な事情が必ず存在します。
その背景や事情を知ることができた時、相手の言動に対して「理解」や「共感」が生まれ、こちらのイライラは自然と整っていきます。
もうひとつ、分かりやすい例を挙げましょう。
「赤が好き」という人がいるとします。
そこに別の人が現れて「私は青が好きです」と言ったとしても、誰もイライラしませんよね。
「赤もいい色だけど、青もいい色だよね」と思えるはずです。これはお互いが【好みの世界】にいるからです。
しかし、もしあなたが「赤が正しい(赤正義)」という世界に生きているとしたらどうでしょうか。「青が好き」という人に対して、途端にイライラが湧いてくるはずです。
「赤が正しいのになんであなたは青なんか選んでいるんだ?」と、相手を責めたくなってしまう。
つまり、物事を「正しさ」という観点(白黒思考)でジャッジし始めると、そうではないものを選んだ人に対して、強烈なイライラが生まれる仕組みになっているのです。
だからこそ、自分の価値観や考え方を「正しさ」ではなく「これは私の好みなんだ」という感覚にシフトしていくことが重要です。
「私はこの考え方が好きだし、こういう生き方が好きだからこれを選んでいる」という感覚を持てていれば、
相手が全く違うものを選んでいても、「まあ、相手はそれが好みなんだな」とフラットに捉えることができます。正しさでジャッジしている時に比べて、イライラは圧倒的に激減します。
これも「新しい視点の獲得」です。
視点を広げることで理解できる世界が増え、相手を許せる(イライラしなくなる)ようになります。
そのために大切なのは、日頃から色々な人の話を聞く機会を持つことです。できれば「なぜその人がそういう考え方をするようになったのか」という背景やストーリーまで知れると、価値観はさらに広がります。
私の運営するイケジムでも、メンバー同士でかなり深い人生の話まで共有し合います。
そうすると、「本当に色々な状況の人がいて、それぞれの悩みや課題を抱え、その結果として今の行動や考え方が生まれているんだな」というデータが、自分の中にどんどんインプットされていきます。
すると、視点の拡大が自然と進み、「人には人の事情がある」ということが心の底から腑に落ちるようになります。
たとえ目の前の人の行動が理解できなくても、「きっとこの人にも、何らかの事情や背景があるんだろうな」という想像力が働き、イライラと適切な距離を置くことができるようになるのです。
4. アプローチ②:他人の言動を「価値ごと」にしない(自己肯定感)
そして、今回最も深くお話ししたい、2つ目のアプローチです。こちらの方がさらに本質的で、重要な内容になります。
そもそも、私たちはなぜ、他人にそれほど強い「期待」をしてしまうのでしょうか。
その原因を深掘りしていくと、ひとつの重要な真実に突き当たります。
それは、「他人の言動を、自分の勝ち負け(自己価値の証明)にしてしまっている」ということです。
言い換えると、「他者の言動によって、自分が非常に傷つきやすい心の状態になっている時、私たちは他者への期待値が異常に高くなる」という明確な傾向があります。
例えば、他人の何気ない言動に対して、いつも「傷つけられた」「悲しい」「惨めだ」と感じてしまう心の状態(かつての私がまさにそうでした)を想像してみてください。
そうなっている時、私たちは心の中で他者に対して、
「こういう行動をとってほしい(自分を安心させてほしい)」
「こういうことは絶対にやらないでほしい(自分を傷つけないでほしい)」
という条件を、大量に突きつけるようになってしまいます。
なぜなら、相手にその行動をとられてしまうと、自分がものすごく嫌な気分(傷つく、悲しい、寂しい、否定されたという強いネガティブな感情)に直面せざるを得なくなるからです。
だからこそ、自分の心を守る防衛反応として、「その行動を絶対にしないでくれ!」という相手への期待値(要求)が跳ね上がります。
こうして、「期待が大きすぎる状態」が自動的に作り出されてしまうのです。
つまり、「自分が、他人の言動に自分の価値を左右されない力(傷つかない力、自分で自分を認める力)」をどれくらい持っているかによって、相手への期待値の高さが連動して決まるということです。
この「自分で自分を認める力」こそが、いわゆる「自己肯定感」です。
一見、他人へのイライラを解消することと、自分の自己肯定感を上げることは、全く別の遠い話のように思えるかもしれません。
「なんで他人のイライラを減らすために、自分の自己肯定感を高めるトレーニングをしなきゃいけないんだ?」と不思議に思う方もいるでしょう。
しかし、これがめちゃくちゃ効くのです。
実際にカウンセリングの現場でも、自己肯定感を高めるアプローチを行うことで、他人へのイライラが根本から消えていったケースを私は数きれないほど見てきました。ここには非常に強い関連性があります。これは明確に断言できます。
5. 「頭では分かるけれどできない」の正体
多くの人間関係のメソッドでは、「他人に期待するのをやめましょう」「期待値を下げましょう」という表面的な解決策が語られます。
もちろん、それを聞いて「そうか、期待しなければいいんだ」と納得はするものの、大半の人が「頭では分かっているけれど、どうしても実践できない」という壁にぶち当たります。
なぜ実践できないのか。
それは、「なぜ自分がそこまで相手に期待してしまうのか」という一歩奥にある原因(自己肯定感の低さや、傷つきやすさ)にアプローチできていないからです。原因が残ったまま、表面上の期待だけを下げようとしても、心が拒絶してしまうのは当然です。
さらに、「頭では分かっているけれどできない」という現象について、もうひとつお伝えしたいことがあります。
他のカウンセリングやセラピーをあちこち受けても変われず、私のところに足を運んでくださるクライアントさんのうち、なんと90%以上の方が、「自分が他人の言動に自分の価値を賭けてしまっている(勝ち負けにしている)」という構造を、そもそも言語化できていません。
「言語化できていない」ということは、実は「頭では分かるけれどできない」のではなく、「まだ頭の段階でも、本当の意味では理解できていなかった」ということなのです。
今回の場合で言えば、相手はまったく悪気なく、ただ何気なくその言動をとっただけかもしれません。
それなのに、こちら側に「自分には自信がない」「自分には愛される価値がないかもしれない」という心の影(信じ込み)があると、相手の行動を自分のフィルターを通して勝手に解釈してしまいます。
「今、私のことを馬鹿にしたんじゃないか」
「私のことを軽く見ているんだ」
「私のことを大切に思っていないに違いない」
相手の真意は分からない(あるいは全く違う)にもかかわらず、自分の心が自動的にそう「感じて」しまう。馬鹿にされた、大切にされていないと「感じて」しまっているからこそ、
目の前の相手に対して強烈な「イラッ」という感情が湧き上がってくるのです。
この状態にある時、イライラを止めようとして「相手の言動をすべてコントロールする(悪いことを言わせない、やらせないようにする)」というのは、物理的に不可能です。
私たちが努力すべき方向は、相手の口を塞ぐことではなく、「自分自身の受け取り方(解釈の癖)を整えていくこと」。つまり、自己肯定感を上げていく取り組みそのものです。
自分を高める取り組みを重ね、自己肯定感が育ってくると、相手が仮にどんな言動をとったとしても、こちらの心は傷つかなくなります。
感情的なダメージをまともに受けない状態を作ることこそが、他人へのイライラに対する「究極の根本解決」になります。
「条件付きの自己価値(何かができたら自分を認める)」から、「無条件の自己価値(ありのままの自分を認める)」へとシフトしていくこと。本物の自信をつけ、自己受容を深め、自己肯定感を高めていくこと。
このトレーニングを進めていくことで、私たちは本当に、根本的な意味で相手に対するイライラをコントロールできるようになります。
そもそもイライラしなくなっていきますし、もし一瞬イラッとしたとしても、それを相手にそのまま感情的にぶつけることなく、一旦「間(ま)」を置いて、自分で自分の感情を整えてから、冷静にコミュニケーションをとることができるようになります。
この「感情を整えてから繋がる力」が身につくと、パートナーシップや職場の人間関係など、中長期的なすべての人間関係が劇的に良くなります。
さらに、子育てをはじめとするあらゆる場面でも、ものすごく強力に効果を発揮します。私自身も、この力を身につけておいて本当に、心の底から良かったなと感じる瞬間が日常に溢れています。
最後に 一朝一夕にはいかないからこそ
ただし、最後にあらためてお伝えしますが、この心の状態は、明日明後日にいきなりできるようになるという類のものではありません。
冒頭でもお話しした通り、そのプロセスの中では、「やっぱりムカつくものはムカつく!」「どうしてもイライラしてしまう!」という日がたくさんあって当然です。
ですから、一朝一夕で完璧にできるようになる必要はまったくありません。
「進むべき方向性はこっちなんだな」というコンパス(羅針盤)を頭の中に持ちながら、少しずつ、一段ずつ進んでいければそれで満点です。ぜひ、そういう長期的な意識で、ご自身の心と付き合ってみてください。
今回は「他者に対するイライラ」をテーマに、そのメカニズムと根本的な解決策をお話しさせていただきました。
もし、聞いていく中で分からないところや、さらに深く聞いてみたい質問などがあれば、ぜひコメント欄に気軽に書き込んでくださいね。皆さんの質問から、また新しいお話ができるのを楽しみにしています。いつも動画をご視聴いただき、本当にありがとうございます。
最後にひとつお知らせです。
私は現在、個別の「無料体験トレーニング」というものを行っています。30分間、オンラインで直接私とお話しさせていただく時間です。
今皆さんがリアルに直面している人間関係の課題や、これから実現していきたいライフスタイルなどを丁寧にヒアリングさせていただき、私の視点から「今の状態なら、こういう解決策やメンタルトレーニングが有効かもしれません」という具体的なご提案やサポートをさせていただきます。
もし「自分の期待値の癖を知りたい」「根本的にイライラ体質を抜け出したい」と興味を持ってくださった方は、概要欄のリンクから、ぜひ一度無料体験トレーニングをお気軽に受講してみてください。
:【30分で解決策を提供】無料体験パーソナルセッションはこちら
LINE@でも最新情報、LINE限定コンテンツを随時配信中です。
YouTubeもやっています。
noteも書いています。
:note文章版メンタルトレーニング「自信を鍛えるメントレ」
本も出版しています。
こちら韓国でも出版されました。
「無愛想のススメ〜人間関係が劇的に改善する唯一の方法〜(光文社)」 発売4日で増刷!











