今日も、物語風に書いていきます。最近ハマってます。
何か、こっちの方が伝えやすい部分もあって、書いていて何か楽しいので。笑
今回は、ハードボイルドおやじと、若造に登場してもらいましょう。
バーにて、若造がおやじに相談している感じで。
「今、落ち込んでるんですよ」
「そうか」
「そうかって…。もう少し気遣ってくれないんですか」
「生きてれば、落ち込むことなんていくらでもある。いちいち騒ぐようなことでもないな」
「そうかもしれないですけど、失恋したんですよ」
「へえ。いいね」
「いいねって…。失恋の痛みっていうのは、つらいもんですよ」
「まあ、そうだろうな。でも、本気で好きだったのか?」
「そりゃあ、本気ですよ」
「いつ出会った?」
「1ヶ月前くらいです」
「出会ってから失恋までが早すぎるだろう。本当に本気だったのか」
「まあ、いいじゃないですか。もう傷つくのは嫌なんで、恋愛はこりごりですね」
「バカかお前は」
「バカって…」
「好きになった女全員に好かれるとでも思ってるのか?」
「いや、そんなことは思ってないですけど…」
「嘘つけ。思っているだろう。思っているからそこまで傷ついてるんだよ。とんだうぬぼれ野郎だ、お前は」
「いや…」
「自分がうぬぼれ野郎だと気づいていないくらい、うぬぼれ野郎なんだよ」
「きついですね、今日は」
「誰だって、失恋くらいする。自分だけが特別なわけじゃない」
「確かに、そうですね」
「落ち込むのはいい。
だが、1ヶ月前に好きになった女に振られたくらいで、いちいち恋愛を卒業しようとするな。
好きになった女は、お前のママじゃないんだよ。
まだお前は、承認してくれるママを探しているガキだな」
「そんなこと言われたことないです」
「そのセリフ自体に虫酸が走る。今日は帰れ」
「…」
「早く帰れ」
「分かりましたよ」
…
「ビールをくれないか」
「あれだけ言うのは、珍しいですね」
「言い過ぎたかな」
「いや。いい薬になったんじゃないですか」
「言った後は、いつも罪悪感に苛まれる」
「分かります」
「言うべきだったのか、言わない方が良かったのか。考えても分からないな」
「何かを言う人というのは、その苦悩と共に生きているのかもしれません」
「言わない方が楽だが、言ってしまう。俺もまだ、ガキだということか」
「なかなか、魅力的なガキだと思いますが」
「褒め言葉と受け取っておくよ。もう一杯、ビールをくれ」
「どうぞ」
「それにしても、最近は言い過ぎる」
出版記念トークライブお申し込みは、明日の19時から受け付けます。
人数に限りがあるので、ご注意ください。