やりたいことを才能のせいにして諦めるその前に。

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受験生として勉強していた頃、一番のネックだったのは数学だった、という話をよくする。

中学校のときから苦手で、苦手だからこそあまり本気で向き合うことのない科目だった。

もう、最初から「あれは嫌い」となってしまっていて、その楽しさに目を向けようとも思わなかったし、どこか避け続けていた。

ただ、京大法学部を目指す上で、避けることができなくなった。

センター試験でも使うし、二次試験でも使う。配点も大きい。

これまで避けてきて、できれば見ないでいたいと思っていたものを直視しなければならなくなった。

才能がないと決めつけてしまいたかった


 

当時、よく自分に言い訳していたのは、「自分には数学の才能がない」というもの。

実は現代文も苦手で、数学と現代文というのは一番「才能のせいにできる」科目でもある。

実際、一浪のときに足を引っ張ったのは数学と現代文だった。

数学と現代文と何とかしない限り合格はできないと分かったので、そこから地道に二つの科目と向き合い始める。

最初の頃は、嫌だった。かなり。

嫌だったから、ある作戦を思いついた。

 

めちゃくちゃ簡単な、自分にもできること、楽しいと感じられることだけをやる

 

そういう作戦だ。

(現在取り組んでいるトレーニングを習慣化した方法は、このときに思いついていたのだと今になって思う)

新しく自分がスラスラとできる問題ばかりを集めた問題集を買ってきて、そこに手をつける。

自らスラスラ解けるものを買ってきたのだから当然なのだけど、スラスラ解けるのは気持ちのいいもので、

「なんだ、数学も現代文も悪くないじゃん」

などと思うようになっていた。

そうすると、だんだん、「俺ってもう少し難しい問題もできるじゃね?」と調子に乗り始める。

子供っぽい男だと笑ってもらって構わない。

そんな子供っぽく調子に乗り始めた自分をちゃんと調子に乗らせて上げて、徐々に問題のレベルを上げていった。

そうすると、そこに面白さを感じるようになっていったし、実際に成績も上がっていった。

もちろん、時々、というか結構、「やっぱ才能がないとさあ」などと言いたい自分が出てくる。

解けない問題が出てきたとき、模試で結果が出なかったとき。

そういうときに、そんな自分が出てくる。

出てくるけれど、出てきていることを認識できていたから、そんな自分に飲み込まれることはなかった。

現役のときはそんな自分の「考え」を自分自身だと思い込んでいたので、飲み込まれたが最後、数学と現代文には手をつけられずにいて、

結局はそれが不合格の最大の原因になっていった。

ただ驚くべきことに、

最終的に数学と現代文は自分の「安定した得点源」となっていって、この二つの科目のおかげで合格を手にすることになる。

当時、「こいつは数学の天才だ」と思っていた子にも、本番の数学の点数では勝っていた。受験では本番の成績が全てなので、努力が才能を上回ったことになる。

才能よりもやりたい気持ちの方が大切


 

例えば今で言えば、本を書いたりブログを書いたりしているけれど、特別書くのが得意だったわけでも、表現力豊かだったわけでもない。

書き始めたのは大学生の頃からで、それまで書く習慣など微塵もなかった。

今でも、特別自分に文章力や表現力があるとは思っていない。(モヤモヤしていることを分析して言葉にする力は多少あるか、という自己認識)

自分には特別な才能があるわけではないと分かっているので、才能がありそうな人を見ても、あまり何も思わない。

自分の人生には何の関係もないし、ないものを欲しがったところで、ないものはない。

ないものはないのだと本当に分かれば、無駄なことに嫉妬したりすることもなくなり、ただ自分がやりたいことを淡々とできるようになる。

ないものはないけれど、あるものはある。

書く才能は別にないけど、書きたいと思ったから書く。

それでいい。

やりたいことを才能のせいにして諦めてしまう前に、とりあえずやってみればいいのだ。

もちろん、やりたいことでないなら諦めてしまえばいい。

自分の場合、これはやりたくないなと思えば結構簡単に諦めてしまう。

結構、簡単に。笑

いらないものにしがみつくのではなくて、うん、いらねえな、と思える力も大事だと個人的には思う。

でも、「これは諦めきれない」と思うことに関しては、粘り強く取り組んできたのかもしれない。

これやってみたいなと思ったことに取り組んでみて、才能のせいにしたい自分が出てきたら、そんな自分が出てきたことを認識して、

もう一歩だけ前に進んでみる。

そうすると、案外自分にもできるじゃないか、という体験をすることになるかもしれず、

そんな体験が自分を大きく変えていくことになることだってあるものだ。

 

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