<この物語はフィクションです>
「毎日がさあ、同じことの繰り返しなような気がしてな」
「俺もさ」
「たまに、これでいいのかって思うよ」
「でも、何か始める勇気もねえんだろう?」
「まあ、そうだな」
「俺もさ」
「ダメだな、俺たちは」
「どうしようもねえ」
「だな。…じゃあ、俺はそろそろ帰るよ」
「なんで?帰って何するんだ。することなんてねえだろう」
「いや、別に」
「言えよ」
「ブログ、書いてんだよ」
「は?ブログ?なんでお前が」
「いや、ずっと、書いてみたかったんだよ」
「お前、自分だけ、何か始めようってのか」
「そんな、大げさなもんじゃねえよ。アクセスだって、そう簡単に集まるもんじゃねんだから」
「そうなのか?」
「そうさ。今なんて、誰も読んでないようなもんさ。タイトル気にしてみたりな、色々大変なんだよ。でも、地道にやってこうと思ってる」
「やめろよ、なんかそういうこと言うの」
「そういうことってなんだよ」
「お前が輝いて見えるようなこと言うなって言ってんだよ。大変とか、地道とか、そういうのさ」
「別に輝いてねえよ」
「輝いてるよ」
「輝いてねえよ」
「俺だって、なんかしてみてえ。でも、俺には文才もない。金もない。才能もない。俺には、何もねえ」
「なんか、あるはずだぜ」
「気休め言ってんじゃねえ」
「最初からないって決めつけるのは良くないと思うぞ」
「なんだ、俺に説教しようってのか」
「別にそういうつもりは」
「ブログ書いただけで、偉くなったもんだぜ」
「そういうんじゃない」
「け!」
「…じゃあ、俺は行くからな」
「行けよ」
「ああ」
「早く行け」
「…」
「本当に行きやがった。大してアクセスも集まってねえブログ書きやがって。
どうすればアクセスが集まるかくらい、調べればネットに載ってんだろうが。
どれ…。
ほら、無料でもやたら情報がありやがる」
2時間後。
「なるほどな。なかなか面白えじゃねえか。
あいつ、まさかこんなことも知らねえんじゃねえだろうな。
……。
仕方ねえ。
俺様が、いっちょ教えてやるか。
……面倒くせえことに、なっちまったもんだ」
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