水滸伝「李袞」が教えてくれた人生の教訓。少しの勇気を持って自分の本音に従うことで、人は息を吹き返すことができる

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水滸伝という小説の9巻の中に、李袞という登場人物が出てくる。

 

目立たない奴。全然強くもない。

 

北方水滸伝の中でも印象は薄い存在。

そのへんで50人程度の人間を集めて盗賊やっている地味な存在。

 

ただ、そこに超重要人物二人がやってきて、ひょんなことから二人を匿うようになる。

 

でも、その二人は超重要人物で、官軍に追われている。

 

その二人を匿っていると、自分が官軍に狙われることになるという状況。

 

ただ、なぜかわからないけれど、弾みで「守ってやる」と言ってしまう。

 

最初は、部下に内緒でいざというときに自分が隠れるために見つけた洞窟に、二人を隠す。

 

でも、だんだん官軍に攻撃されるのではないかと怖くなってくる。

官軍に攻撃されて、迎え撃つ勇気はない。

李袞は、悩んだ。

悩んで悩んで、ついに二人に「出て行ってくれ」と頼むことにする。

 

二人のうちの付き人の方は「それは困る」と言う。

当然だ。

 

出たら官軍に見つかるわけだから。

 

でも、もう一人が、「出ていこう」と言う。

 

そこからが面白い。

 

以下、本から抜粋。

 

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「この洞窟で、一人で生き延びるのか?李袞」

 

「うるせえ、俺の勝手だろう」

 

「私は、この洞窟を出よう」

 

「なんだと」

 

「ここは、恥を詰め込んだ洞窟だ。おまえの卑怯なところを、全部詰め込んだ洞窟だ。中にいると、いやな臭いがしてくる。

 

この中で、二日暮らしただけで、私の心は貧しくなった。

 

なにもかもが、ひとり分だ。

 

おまえは結局、ひとりきりなのだ。

 

ひとりで汲々として生き延び、ひとりで死んで行く。

 

私は同情している。

 

かわいそうな男だ、と思う」

 

〜中略〜

 

「俺はな、俺はな」

 

「おまえの気持など、わかる気はない」

 

「聞けよ、聞いてくれよ」

 

「やめろ、李袞。自分が哀れになるだけだぞ」

 

「馬鹿にするんじゃねえぞ、ちくしょう」

 

李袞は、自分が泣いていることに気づいた。

 

なぜ涙が出てくるのか、自分でもわからなかった。

 

〜中略〜

 

「お前は、なかなか強い。だが、何のために戦うのか、考えたことがない。だから、生き延びることだけに気がいってしまうのだ。お前に足りないのは、ただそれひとつだ」

 

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李袞はこの後、自ら洞窟を塞ぎます。

 

自分だけの逃げ場所としていた洞窟を。

 

そして、50名の部下に闘うことを決意したと告げる。

 

 

闘う決意をした李袞に、部下はこう言う。

 

 

 

「お頭が、官軍を恐れて二人を無視するような男でなくて、俺はよかったと思っている」

 

ひとりが言った。

 

「俺たちに、頼んでくれるのも、嬉しい。

いいぜ、俺たちは。

お頭と一緒に、その二人を守り抜いてやる」

 

もうひとりが、振り向いて言う。全員が、頷いたように見えた。

 

「官軍と、闘うことになりかねん。だから、どうしてもとは言えん」

 

「仲間じゃないか、お頭。水臭いこと言うなよ」

 

仲間という言葉が、李袞の心に響き渡った。

 

そうだ、ほんとうの仲間が欲しかった。

 

ほんとうに欲しいのは、自分が生き延びることなどではなく、仲間だった。

 

ともに、闘える仲間。

 

死んだら、泣いてくれる仲間。

 

「いいんだな、みんな」

 

「おう」

 

一斉に声があがった。

 

生まれてはじめて、自分は本気で闘うのだ、と李袞は思った。生きている。心の底から、そう思った。

 

(水滸伝 北方謙三 第9巻 集英社)

 

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李袞はこの後、

 

部下に慕われる立派な隊長になっていきましたとさ。

 

 

 

 

 

 

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